【Adobe MAX Japan 2025 レポート】AIが加速するクリエイティブの未来
2025年2月13日、東京ビッグサイトで「Adobe MAX Japan 2025」が開催されました。
Adobe MAX Japan 2025のキーノートセッションでは生成AI技術を活用した新機能が多数発表され、AIがクリエイティブ業界をさらに席巻していることを強く印象付けました。
可能性がさらに広がるとともに、非デザイナー向けのAI機能の強化も見られ、業界の変化を実感する内容でした。
主要なアプリケーションのAI関連機能とアップデートを中心に詳しくご紹介します。
目次
Adobe Firefly Video Model
Adobe Fireflyの誕生から2年、Adobe Firefly Video Modelが誕生しました。
Adobe Firefly Video Modelは、生成AIをビデオ編集に導入し、「テキストから動画生成(ベータ)」機能を提供しています。
ユーザーはテキストプロンプトや画像から高品質でダイナミックな動画を生成でき、複数の画像をキーフレームとして設定することで、それらを基にした動画を生成することも可能です。生成された動画は、Premiere ProやAfter Effects、Adobe Project Neoなどと連携が可能で、従来のワークフローにスムーズに組み込むことができます。
Photoshop
Photoshopの新機能発表は、昨年10月のアップデートで導入された機能の紹介となりました。
Photoshopの生成AIを活用した新機能である「削除ツール」は、選択したオブジェクトを即座に削除し、背景を自動生成する機能で、複雑な要素の除去も一瞬で行えます。また同時期に搭載された新機能では、生成塗りつぶしの「生成拡張」、「背景を生成」、「類似を生成」などが挙げられます。
Illustrator
Illustratorは新フォント「百千鳥」の発表と、パフォーマンス向上に大きな注目が集まりました。
また、生成AIによるイラスト作成等、補助機能がプレゼンテーションされました。
Project Neo
Project Neoは、直感的に3Dデザインを作成できるツールで、日本語にも対応されました。
新たにSVGデータの読み込みが可能になり、自由度の高いレイアウト調整が可能です。さらに、Fireflyの生成AIを活用し、3Dデータから画像を作成する機能も追加されています。
Illustratorと連携することでシームレスに3Dデザインを取り入れることができ、アプリケーションUIも馴染みがあるためすぐに実務で活用できるでしょう。
Premiere Pro
Premiere Proには、AIを活用した動画編集支援機能が強化されました。
「キャプション翻訳機能」は、複数の言語への翻訳が可能になり、より多様なコンテンツ制作をサポートします。
「オートリフレーミング機能」も進化し、被写体をより精度高く追尾しながら最適なフレームに調整することができます。
さらに、新たに「生成AIによるシーン変更検出」機能が追加され、編集ポイントの特定がよりスムーズになりました。
Adobe GenStudio
Adobe GenStudioは、マーケティングコンテンツの制作と管理を効率化するための新しいAI搭載ツールです。
AIの技術を活用し、キャンペーンの作成やメール配信の管理、SNSやディスプレイ広告の作成・公開、 さらに結果のインサイト取得までを一元的に行うことができます。
企業向けに設計されており、ブランドガイドラインに沿った広告クリエイティブやキャンペーン素材を自動生成できます。
Adobe Express
Adobe Expressは、生成AIを活用したデザイン生成機能を新たに追加しました。
これにより、ユーザーはブラウザ上で簡単にショート動画の編集やデザイン制作が可能となり、より手軽にクリエイティブ活動を楽しめます。
Adobe Acrobat
Adobe Acrobatには、生成AIを活用したドキュメント作業支援機能が追加されました。
特に注目すべきは「AIアシスタント」で、PDFドキュメント内の情報を迅速に抽出し、要約やドキュメントに基づいた回答を提供する機能です。また、契約書の比較や重要ポイントの抽出、学習資料の整理などもAIが自動的に行います。これにより、業務の効率化と情報整理が格段に向上しました。
まとめ AIとクリエイターの向き合い方
キーノートで登壇したアドビ会長兼CEOであるシャンタヌ・ナラヤン氏は、「クリエイティブは人間独自の性質であり、AIは人の創意工夫を補助・拡大し、生産性を向上させるものであって、決して置き換えるものではない」という信念を語っていました。この言葉は、AIが単なる自動化ツールではなく、クリエイターの可能性を広げるパートナーであることを改めて強調するものでした。
また、今回のAdobe MAX Japan 2025では、生成AIの活用において「安全に商用利用できる」ことが随所でアピールされていたのも印象的でした。安心してAIを活用することで、クリエイターは繰り返しの作業を効率化し、より創造的な時間に集中できるようになります。
AIの進化とともに、私たちクリエイターがどのようにAIを取り入れ、独自のアイデアを形にしていくかが、これからのクリエイティブの鍵となるでしょう。
LYZONのWebデザイナー マネージャー。社内案件ではディレクターも担当。
Webデザイン・コーディングとの比率は半々。2015年入社。
ロックンロールを深く愛している。