AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト合格までの道のり
エンジニアユニットの宮原です。
少し前になりますが、6月にAWSの認定資格の一つである、ソリューションアーキテクト アソシエイト(以下、「SAA」と略します)を取得しました。
Azureの認定はFundamentalsレベルの認定をいくつか持っていましたが、AWSの認定に挑戦したのは初めてで、いろいろな違いに戸惑いつつも、なんとか合格することができました。
目次
なぜAWSの認定試験を受けようと思ったのか?
合格体験記の前に、なぜAzureではなくAWSの認定を受けようと思ったのかを2つ書いていきます。
- なるべく特定ベンダーによらないクラウドの知識を身に着けたかった
LYZONではSitecore(サイトコア)を主に扱っており、Windows Serverを中心に使用しています。そのためインフラ領域まで入り込むことは少ないですが、どちらかというとMicrosoftの提供するクラウドであるAzureに触れる機会が多くなります。 しかし、個人的にはあまりMicrosoftに偏った知識の付け方はエンジニアとして好ましくなく、あらゆる知識を持つことで問題解決の糸口を広げられると考えていたため、AWSの認定も取得しておいた方が役に立つだろうという考えです。
- 年1回行われるAWS Summitで、認定を持っていると特典を受けられるから
正直に言うとこちらの理由のほうが大きいです。今年のAWS Summitは6月20~21日で開催されるため、認定特典狙いで受験することで明確にタイムリミットを設定でき、取得への計画を立てやすくなると考えました。
受験要項(2024年6月現在)
受験料 :22000円(2024年4月1日から)
試験時間 :140分(規約確認5分、問題解答130分、試験後アンケート5分)
合格点 :720点/1000点(いくつ正解したから何点というものではないようです)
不合格時の再受験は回数にかかわらず14日後以降(Azureのように1回目の再受験は~というように切られていない)
テストセンターでの受験時、身分証明書が2種類必要(Azureは1種類でOKだった)なので忘れないようにしましょう。(免許証+クレジットカードなど)
また、試験結果はその場では出ず、少し経ってからメールで通知されます。(午前中~お昼に受けて、その日の17時ごろにメールが来る)
不合格の場合はその場で結果が出る、と書いているブログ記事もありますが、後述する2回不合格になった際も、その場では合否は出ませんでした。
どうやって勉強したか?
- 黒本(インプレスの「徹底攻略」シリーズ)
出題範囲のサービスの詳細を理解するために利用しました。2回目の受験までに一通り読み込み、サービスの内容については一通り理解できました。
- ping-tの問題集(SAAの内容は無料で利用できます)
2回目の受験まではひたすら問題を解きましたがそれだけでは本番の試験問題に対応しきれなかったため、解説に含まれる内容をネット検索しながら、ユースケースごとに適したサービス・サービスの組み合わせを勉強していきました。 解説も丁寧なため、補助的な教材としては十分使いやすかったです。ただ問題を解いていくだけだと知識の定着が薄いので、問題の解説も読み込んでおくことをお勧めします。
私は特に使わなかったものの、実際にAWSのアカウントを作ってサービスを試用してみるのも助けになりそうです。 ただし、問題の傾向として「複数のサービスをどう組み合わせて課題を解決するか?」というのがあるので、個別のサービスの理解だけでは合格は難しいです。
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— インプレスブックス (@impress_corp) June 1, 2023
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2回の不合格、3度目の正直
1回目:4月初めに受験し不合格(688点)
再受験無料のキャンペーンを利用していたので、合格を目指してというよりは本番の試験問題の感覚をつかむために受験していました。結果は不合格ではあったものの、思ったよりスコアが悪くなかったので、ここで油断が生まれてしまったのかもしれません。
2回目:5月下旬に受験し不合格(688点)
再受験無料の期間は6月末まででしたが、AWS Summitへの参加と報奨金のタイミングを考えて5月中に再受験することにしました。
自宅から近いテストセンターを選択したのですが、体調が万全ではなかったこともあり、問題文を読み込むのがとてもしんどかったです。手応え自体は悪くなかったのですが、1回目と同じスコアで不合格だったため、勉強のやり方を変える必要がありそうだなと感じました。
3回目:6月中旬(AWS Summitの前日)に受験し合格(777点)
不合格だった場合は、14日経過しないと同じ試験を受けることができません。5月下旬の受験で合格し余裕を持ってAWS Summitへ参加するつもりだったのですがまさかの不合格。14日後以降で受験できそうな日を探しましたが週末は埋まっていたため、平日に有給を取得して受験することにしました。
試験の要点を予め確認しておき、ポイントをきっちり抑えることを意識して挑み、無事合格することができました。
(画像のスコアレポートは、試験結果の部分だけ切り抜いています)
試験のポイント
- どういった課題を解決するためにクラウド(AWS)へ移行するのかorクラウド(AWS)への移行にあたってどういった課題があるのかを見極める
「ソリューション」アーキテクトなので、課題に対する解決方法を提供することが求められます。
同じような移行方法であっても、何を重視するのかによって最適な選択肢は異なります。
コストを抑えたいのか?可用性を高めたいのか?運用の負荷(オーバーヘッド)を減らしたいのか?セキュリティや安全性を確保したいのか?解決したい課題を問題文から読み取って最適な選択肢を選ぶことが重要です。 - AWSのマネージドサービスの利用を検討する
Amazon EC2は仮想サーバーを提供するため、極論コストや動作速度等を無視すればなんでもできます。
ただ、AWSには様々な用途に特化したマネージドサービスがあり、EC2を使わなくても課題を解決できることがほとんどです。コストや運用負荷、セキュリティ性という観点でも優れていることが多く、EC2であれこれやろうとしている選択肢があれば、真っ先に選択肢から外してもいいぐらいです。 - 要求されるパフォーマンスに適したサービスを選択する
具体的なパフォーマンスを数値で出題されることがあります。(10万IOPSが必要、など)
ストレージサービスの場合、具体的なパフォーマンスを示されている場合選択肢が絞られることが多くあります。
またAWS Lambdaは1回の実行時間や処理できるデータの量に上限があり、一度に膨大なデータを処理するには向いていません。
問題文に具体的な数値が記載されている場合、その数値に適した選択肢は絞られます。 - わからない問題は飛ばす
この試験に限ったことではないですが、130分時間が用意されているので余裕かと思いきや、問題文・選択肢が長いため、要点をつかむのに時間がかかる問題が多いです。
後ろの問題を解くことで他の問題の回答がひらめくこともあり、見直しもできるので、ひとまずわからない問題は後回しにしておくことで時間を有効に使えます。
まとめ
AWSの認定資格の中では比較的難易度が低い資格として説明されることが多いSAAですが、実際に受験してみると基礎レベルの資格の内容をそのままランクアップしたというよりは、全く別物の専門的な資格だと感じました。
長めの試験時間、問題文や選択肢の雰囲気、勉強の方法など、今まで受験した試験とは全く異なる感覚で苦労しましたが、合格までの一連の行動でクラウドサービスに対する理解や知識はかなり深まったと思います。
AWSを中心としたクラウドサービスを設計・構築・運用する人もそうでない人も、ぜひ受験を検討してみてください。
アルバイトからの登用で2018年入社。
テストの設計・実施・自動化を中心に、Word・Excelのトラブル解決やちょっとした配線作業等の雑用もこなしている。
休日はなるべく安く旅行する方法の研究に余念がない。